むくどり保育園はイタリアのモンテッソーリ女史の理念に基づく教育を行う保育園です。計画当初に、モンテッソーリ保育園の理想を表す言葉は「子供の家」であると伺いました。それは、子供達が身体的なストレスや不安を感じることなく、自主的に生活ができる環境であり、いたずらに保護されるだけではなく、社会や自然、友達との関係を学べる環境である思います。同時に、これからの保育園は地域に根ざしてそのコミュニティーの福祉の核になる役割も持っています。「開かれた....」とは、公共的な施設の合い言葉ですが、むくどり保育園はその中心に子供達をイメージして設計を進めました。
新園舎の特徴の一つは、1階の園庭を囲む半戸外テラスとデンです。むくどり保育園は幼児の集団保育を行わないので、組ごとの保育室はありません。その代わりにデンという小さな場所をつくりました。そこは園内で唯一園児達の私的な部屋であり、私物を置ける部屋です。小さな部屋ですが落ち着ける部屋です。同時に靴の履き替えの場所でもあり、園児はここで上履きや園庭履きに履き替えます。そのため保育園にはつきものの靴入れが目立たなくなりました。テラスは上下足共用のスペースです。
園内にはいろいろな場所をつくりました。風が抜ける2階のテラスには大きな青森ヒバのベンチがあります。乳児のテラスは日当たりがよい特等席です。階段を上がっていくと先生が顔を出してくれます。庭に飛び出した屋上はトランペットバルコニーのようです。円形劇場のようなホールには秘密の抜け道も舞台裏もあります。晴れやかな場所と秘密の場所、広い場所や狭い場所もあります。
室内の仕上げには青森ヒバを使い、意匠を押さえ大きな部屋も小さな部屋も同じようにつくりました。青森ヒバは柔らかく傷が付きやすい点もありますが、香りがよくてとてもきれいな木です。
保育園で一番楽しい時間はお昼の食事だと思います。また、食事は大人と子供が楽しさを共有できる場です。その楽しい雰囲気が外からうかがえるように、食堂を道路から一番近いところにつくりました。食堂の大きな窓は園と子供達が社会に向けた顔です。暖かな照明が見上げる人たちを招きます。
中庭を取り囲む開口部はすべて木のサッシです。断熱性能に優れ、肌触りがよく目にも優しい雰囲気です。暖房設備は、潜熱蓄熱体を夜間電力で加熱して、日中に放熱するシステムを採用しました。エネルギーを効率よく使い、経済的で環境負荷を小さくする考え方です。将来は2階の屋上に太陽光発電パネルを設置して、より環境に優しいシステムに変えていく予定です。
ココロノ ヤサシイ オニノウチデス
ドナタデモ オイデ クダサイ
オイシイ オカシガ ゴザイマス
オチャモ ワカシテ ゴザイマス
だれもが一度は読んだことのある童話「泣いた赤おに」の一節です。
その作者浜田廣介の「むくどりの夢」を名前にいただいたむくどり保育園の新園舎が、子供達と地域の皆様に受け入れられ末永く愛される施設となることを願ってやみません。