建て主には大変申し訳ない言い方ですが、非常に狭い敷地に建てた3階建て住宅です。最初の打合せの時に、家族4人の寝室と予備室と言われたときは少々びっくりもしましたが、難しいクロスワードパズルに挑むときのような、妖しい興奮を覚えたのも事実です。基本設計は実際パズルのようなもので、1/100の模型がごろごろと積み重なっていきました。目一杯の面
積を確保するために3階建てとなったのですが、お隣と並んで頭が出るようでは申し訳ないということで軒の高さはおさえてあります。その結果
として、南側と北側に高さのずれた2組の3枚の床、合わせて6つの高さの違う床を持つ構成になりました。下の2つの床を除いて、上部4つの床は大きな空間の中でつながっていて、主な家族の生活の場となっています。この2層構造は外観の特徴にもなっています。最上階の3畳の予備室は、結果
的には予備室というにはあまりに良い場所になってしまい、どうやら御主人の寝室になっているようです。引っ越しが終わって数日後にお邪魔して、とてもきれいに片付いているのに驚き、また感心しました。聞けば、基本設計の段階から収納の計画をしていて、着工したときには全ての物がどこに納まるかきちんと決まっていたということでした。パズルには、建て主も参加していたのです。住まい手は往々にして、作り手より鋭い生活の実感を持っているものです。